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高森明勅
2016.10.8 01:00

「皇子」をどう訓(よ)むか?

皇室典範の第8条に「皇嗣たる皇子を皇太子という」という
規定がある。

「この“皇子”は何と訓(よ)めばいいのですか?」
との質問を受けることがある。

「皇子」は一般的には、訓読みでは「みこ」、
音読みでは「コウシ」又は「
オウジ」と訓む。

典範のこの箇所では訓読みは相応しくない。

ならばコウシかオウジ。

漢語としては元々コウシが普通の訓み方。

しかし、上に同音の「皇嗣」という語がある。

それと区別する為にオウジと訓む学者もいる。

ところが典範改正案の検討をしていて、気付いたことがある。

一概には言えないものの、皇子をコウシと訓む場合は、
天皇の「
子(男女を問わない)」で、副次的に「男子」をも意味する、
という使われ方をしている。

それに対し、オウジと訓むと、もっぱら「男子」だけの意味
(つまり“皇女”の対義語)か、
少なくとも主に男子を指す傾向が
あるようだ(
まだ調査が十分ではないが)。

ならば典範は「皇子」の語に男女を含ませているので、
コウシと訓む方が妥当だろう。

典範が皇子に男女を含ませているのは、
第6条に以下のような
規定があるので明らか。

「皇子及び…皇孫は男を親王、女を内親王とし…」ちなみに、
先日のゴー
宣道場の打ち合わせの席で、「皇子」に女子を含み
得るかどうか、
鋭く質問をされたのは小林よしのり氏…
ではなく秘書の岸端女史だった。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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